帰ればそこにあったのは無様で無残な死体とその死体に足を乗せながらソファに腰掛けるエースと云うグレイにとって実に最悪のシチュエーション。エースの顔はずっと扉が開くのをまっていたかのか固定されたようで扉を開ければまず最初に飛び込んで来たのが品の良い笑み、そして死体と云う順番であった。動かぬ人形に近付こうとすれば飛んできたのは黒い足。身体能力に関してはエースと彼は互角とも云うべき実力であったので咄嗟にグレイは飛び上がりその足を避け、そして着地すれば足の届かない範囲にまで下がる。
全く何故エースが自分の主人である人物を殺したのか彼には全く理解が出来ない。元から彼の理解を遥かに越える人物ではあったものの、今回ばかりははいそうですかと諦めてもいられない。消えていく主人の体を見て、彼は少なからず焦りを覚える。せめて消える前にあの体に、美しく精練された体に触れなければと、彼の脳は彼を脅す。しかし思考が止まっている間にエースの手は容易くグレイに伸び、そして破裂音を放つ。咄嗟の事によろめいた彼は痛む頬に触れ、そして生暖かい物に、触れる。視界の端のエースのそれはそれは歪んだ顔を、見る事は無いまま、主人が残した真っ赤な血を赤い舌でグレイは舐めた。