愛というのは苦しすぎて、愛しているというただそれだけで、それは人を殺意へと駆り立てる。
そんなのは陳腐な恋愛小説の中だけで充分だと思っていた。そんな馬鹿な恋など、美しく見えるだけの幼稚な感情なのだと。
しかし彼はキスをするたびに殺意を覚えるのだった。かさついた唇にそぅっと触れた瞬間、ねばついた舌を受け入れた瞬間、
どうしようもなくどろりとした想いがブラッドのなかで弾ける。
「好きですよ、帽子屋さん」
そう言うエースの言葉はきっと偽りなのだと思う。そうでなければこんなにも残酷に肉を食いちぎるようなキスが出来るわけがない。
「私は、貴様なんて、――だいきらい、だ」
わかっているはずなのにそれを考えるたびにブラッドはやっぱりエースを殺したくなる。ああ愛というのは苦しすぎる。