白い髪も、白い耳も、白い肌も、其れを飾る赤い目も。

白い髪は太陽の光が当たれば輝くし、白い耳が彼の感情と共に動く様は面白いし、白い肌は思わず傷付けたくなるし。珍しい赤い目に見つめられると背筋が寒くなる。
全ての者と物に触れられることを拒むように、世界を拒むような赤い目が俺を睨んでいた。白い肌には俺が付けた傷で飾られていて、真っ直ぐ伸びた其の線から零れる赤は白い肌に良く映えていて綺麗だった。瞳の赤も血の赤も同じように綺麗で、どきどきしてしまう自分はやっぱり可笑しいんだと思う。狂っていると誰かに、目の前の獲物にも言われた通り、狂っている。でもその赤い血を目を見てどきどきするのは君だけなんだから、俺はやっぱり狂っていないと思う。だってこれが恋って奴なんだろう?


「赤が似合うね」
「其れはどうも。ちっとも嬉しく無いですけど。貴方にも赤は似合うと思いますよ、染めてあげましょうか?」

あーあ、酷いな酷い。恋心をそんな風に安く扱っちゃいけないって事を知らないんだろうか。デリケートで繊細な心が傷ついてしまうのに。そもそも心なんて大層なものがくっついているのかなんて疑問はこの際無しで。だってずきずきと心が痛むのは傷付いているからだろう?それとも君が言ったのとは逆に君を赤に染め上げたくて染め上げたくて、早く早くと急かしているのだろうか。手に持った銃の引き金に力を入れるべき?
考えている間に何かが走って、赤い血が俺の元にも訪れている。けれど何処も痛く無い。ただ体が赤で汚れているだけだけれど。

ペーターさんを見てみたら俺と同じ色の赤で染まっている。俺みたいに飛び散ったんじゃ無く、ペーターさんは真っ赤に染まっている。彼の体のあらゆる白に飛び散った赤と俺の赤がお揃いでなんとなく嬉しくなった。やっぱり俺は狂ってなんかいない。好きな人とお揃いが嬉しいなんて、何処にでもいる人間みたいじゃないか。



「ペーターさん、俺も同じ赤になったよ。どう、似合う?」

言い終えてペーターさんを見てみたら返事がしなかったので体に触れてみたらいとも簡単に倒れてくる。珍しく積極的で嬉しい限りだ。だけれども幾ら声を掛けてみても動かない。うんともすんとも言わない。折角のペーターさんのお誘いに乗ってあげようと思ったのにな。ちっとも動かないペーターさんは少し面白味が無いけどそれでも白が赤に染まった姿は綺麗。穴だらけの体だって俺は愛してるから大丈夫なのに、そんな恥ずかしがらなくてもなんて言おうと思ってふと手を見たら引き金はとっくに引かれていたらしい。もう少しで消え去ってしまうことは分かっていたのでせめてこれだけでも残しておきたいと、血のように赤い眼を貰ってキスをした。





ぼくのためだけにきみはいればいいとおもう。

時宮一