私にはひとつだけ欲しい物があります。どうしても欲しい物があります。硝煙や血肉の燃える中、私は私が守るべきはずの人をようやく見つけました。その傍にはハートの城の騎士が居ました。私の守るべきはずの人はぴくりとも動かずにただただ地面に横たわっていました。私は瞬時になにが起こったのかわかりました。ハートの騎士を切りました。たしかエースという名前の騎士だったでしょう。私は彼が役目の裏でなにをしていたのか知っていました。だから彼を殺しました。てこずりましたが、ナイフで首を掻き切ると、壊れた人形のように崩れ落ちました。私は荒い息を整えながら私の守るべきはずだった人のもとへと向かいました。彼は予想通りにやすらかな顔で眠っていました。もう一生目覚めない眠りです。ですが私は悲しくありませんでした。彼が、ナイトメア様がようやく苦しみから解放されたのだと思うと、嬉しくて涙が出てきました。そうして少しした間、私は泣いていました。私は動かなくなった彼の額にキスをして、ナイフを彼の胸に突き刺しました。まるで噴水のように血が吹き出しましたが、私は気にしませんでした。愛すべき貴方の血液です。なにも言うことはありません。私は彼の頬に付いた血を舐め取って、ナイフを突き刺した場所に手を差し込み、彼の時計を取り出しました。いとしいいとしい彼の時計。それは私が唯一欲しいものでした。私はその時計を細かく砕いて飲み込んで、自分の頭をめがけて銃を発砲しました。あなたが生きていないのなら、私も生きている意味がありません。さようなら。愛していました。