私にはナイトメア様に健康になって欲しいと思う心とこのまま病弱なままでいてほしいと思う心のふたつがあった。
ぎしりと使い慣れたベッドがきしんだ音を立てた。
「い、た・・・」
ナイトメア様が苦しそうに囁いた。繋がれた両手が赤くなっているのを私は見て、私はその箇所に軽くキスをした。繋がれていなくても逃げないけれど、私は繋がれていないと安心が出来ないのだ。繋げていないと、繋がれて居ないと逃げてしまいそうな気がする。だからこういう行為のとき私は必ずナイトメア様の両手を束縛する。逃げないように、逃げられないように。胸に耳を当てると時計の音がする。それは無機質だけど愛しいものだった。私とは違う病弱で弱弱しい音。いとおしい。ずっとこのまま病弱のままでいてくれたらいいのにと私は思う。そしてずっと私の手の中にいるのだ。他のものを頼らずに私だけを頼って、お願いだから他のものなど見ないでずっと傍にいて下さい。

「グレ・・・い?」
「はい」
「なんで、お前が泣くんだ?」
「わかりませんよ、そんなこと」
そして私はナイトメア様にキスをした。いとおしい。ずっとずっと傍にいて欲しい。そう、分かっているのだ。本当は、ナイトメア様が私を必要なのではなくて、私がナイトメア様を必要としているのだと。

それが愛だと言わなくても。


苦しいのは 悲しいのは


きいこさま