「きゅう、じゅう、じゅういち・・・」
私が紅茶を淹れていると、ナイトメア様がなにかを数えていた。
「なにを数えているんですか?」
「いや、日にちを・・・」
じゅうに、じゅうさん、じゅうし・・・私のことなど気にもせずに、ナイトメア様は相変わらず数を数えている。私は少し腹が立って、紅茶をうんと苦くした。ナイトメア様はそれに気付かずティーカップを口にした。
「! に が !」
「すみません手加減を間違えました」
我ながら棒読みだったかなあと思いながらも、私もナイトメア様の目の前の席に座った。
「それで、なにを数えていたんですか?」
「あ、ああ、最近アリスが遊びにきてないなあと思って・・・」
ア リ ス 。
私は茶菓子のクッキーに手を伸ばして、ぱりんと食べた。
「アリスが居ないと、寂しいですか?」
私がそう訊ねると、ナイトメア様はあたふたと慌てた。
「いや、そうじゃない、そうじゃないんだけど・・・」
私は心が燃え尽きてしまいそうな気がして、彼女の最期を思い出した。あっけなく死んでしまった彼女。殺されてしまった彼女。私が殺したアリス。私からナイトメア様を奪おうとしたアリス。死でも償えない罪。
「・・・?グレイ?どうかしたか?」
「いいえ、なんでもありませんよ」
彼は、私が彼女を殺したと知ったらどうするだろうか。憎んで怨んで私の傍からいなくなるだろうか。だけどそんなこと許さない。彼は私の傍にいるべきなのだと、そう私は思った。